2025年7月12日に公開された、樽山めろめ様の無料ノベルゲーム『PadluvOsasanquafalls -パドルーヴォ サザンカフォールズ-』。
本作のテーマ曲「Crimson Waltz」を、私 mARUTA mANABU が作詞・作曲・編曲として担当いたしました。
本記事では、作品概要、楽曲の制作背景、歌詞の意図、ボーカルの魅力などを詳しくご紹介いたします。
1. PadluvOsasanquafalls-パドルーヴォ サザンカフォールズ-とは
樽山めろめ様による、SFファンタジーADVノベルゲーム。
キャッチコピーは
【かわいいうさぎを口説いて素敵なディナーを食べるだけ】。
物語は、可愛らしさの裏に潜む“罪”と“復讐”という重いテーマを内包しており、
ファンタジーながら深い余韻が残る作品となっています。
■ あらすじ
月が地球に落ちて100年。
月の住人である「うさぎ」たちは、種の滅亡を逃れるためチキュウ人との共存を選び、静かに暮らしていた。
──ただし、自分たちがかつて犯した罪を忘れたまま。
その世界で、物語はゆっくりと、しかし確実に動き始めます。
■ ゲーム情報
- タイトル:PadluvOsasanquafalls -パドルーヴォ サザンカフォールズ-
- 公開日:2025年7月12日
- ジャンル:SFファンタジーADVノベル
- プレイ時間:約1時間(本編40分+おまけ編15分)
- 操作:クリックのみ
- エンディング数:1種類(ゲームオーバーを除く)
無料でプレイできます:
2. テーマ曲「Crimson Waltz」について
本楽曲は、樽山めろめ様から脚本をいただき、
物語から受けたインスピレーションを元に作詞・作曲したものです。
中心となるテーマは、
「主人公の復讐」。
主人公は、相手に合わせて変幻自在に振る舞い、
優雅で妖しい“駆け引き”の裏側で、静かに復讐を遂行していきます。
その“甘く危険な誘い込み”を、
疾走感のあるダークエレクトロスウィングで表現しました。
● 歌詞
「Crimson Waltz」
Shadow in the party…
紅く滲むグラスと
煌びやかなドレスに身を包む淑女(レディー)
さあ初めの一手 静かに駒を進め
誘い込むのさ 罪が巡る罠へと過ちに染まるお伽話を
心ゆくまで聞かせておくれさあ
Dancin’ in the night 唆す円舞曲(ワルツ)
Losing yourself 蕩け出す瞳
Falling for my bluff 甘い言葉で
チェックメイトさ もう逃がさないよ
YOU LOSE..
● 歌詞に込めた意図
楽曲は、ゲーム内でも象徴的な“パーティー会場”を舞台にしています。
そこで繰り広げられるのは、華やかさの裏に潜む冷たい復讐劇。
優雅に一歩ずつ詰め寄る主人公、
その罠に無意識に引き寄せられていく相手──。
歌詞全体を通して
「静かに進むチェスのチェックメイト」
のイメージを音楽とともに描きました。
3. ボーカル・Yunoshin さんについて
本作の歌唱を担当してくださったのは、
フォロワー5,800人以上を持つ歌い手 Yunoshin さん。
非常に表現力の高いシンガーで、
今回の楽曲で求めていたダークで妖艶な声色を、想像以上のクオリティで再現してくださいました。
特に、
- 静かな“誘い”のニュアンス、
- 一気に畳み掛けるサビの迫力、
- ほのかな狂気と優雅さの同居
これらが、作品の世界観を立体的に形づくり、Yunoshinさんの歌によって「Crimson Waltz」が完成品へと導いてくれたと言えるほどです。
実は制作段階から「ボーカルはYunoshinさん想定で」とめろめ様から伺っており、
その声質をイメージしてメロディーラインを構築しました。
見事に私の頭にあった雰囲気を再現して頂きました。
4. メインで使用した音色・楽器構成について
「Crimson Waltz」では、クラシカルな上品さと、主人公の復讐劇に宿る攻撃性・狂気を両立させるため、複数の音源を細かくレイヤーしながら構成しています。
ここでは主要なサウンドを中心にご紹介いたします。
● ブラスセクション(Chris Hein Horns Pro Complete)

本作の象徴ともいえるメインリフは、
“クラシカルで攻撃的なエレクトロスウィング” の世界観を体現するための重要な要素です。
使用音源は Chris Hein Horns Pro Complete。
私の楽曲ではこちらのブラス音源を頻繫に使用しています。
豊かな倍音・レスポンスの速さ・生々しいアタック感が特徴です。
本作でもその質感が、主人公の強い意志と復讐の鋭さを力強く支えています。
● ピアノ(Adam Monroe’s Honky Konk Piano)
ピアノにはAdam Monroe’s Honky Konk Piano を使用しています。
やや枯れた質感のあるサウンドで、
エレクトロスウィング特有の“古き良き時代の空気感” が演出できるため採用しました。
特にコードの刻みや装飾的フレーズにおいて、楽曲全体のヴィンテージ感を支える役割を果たしています。
Adam Monroe’s Honky Konk Piano 公式サイト
● ギター(DJANGO: GYPSY JAZZ GUITAR)
バッキングギターや合間のオブリガードにはDJANGO: GYPSY JAZZ GUITAR を使用しています。
- ジプシージャズ特有の乾いたアタック
- スウィング特有の加速感
- 哀愁と怪しさを同時に持つ音色
これらが「Crimson Waltz」の世界観に非常にマッチしており、旋律の裏側に潜む不穏さを演出しています。
● ベース(Trilian + Serum 自作音色)
イントロ部分は Trilian を使用。
一方で、メインで鳴っているベースは Serumで自作したベース音色 です。
この自作ベースは、
他の作品(例:「ステップはお静かに」)でも使用している私が自作した音色で、
エレクトロスウィングのダークさとダンスミュージック的な駆動感を両立させています。
※ Serumでの音色作りについては、別の記事で詳しく解説予定です。
Serum2は月々1500円でレンタルできますのでとりあえず試してみたい方におススメ💡
● 8bit サウンド(YMCK 「Magical 8bit Plug 2」)
こちらは樽山めろめ様からいただいたリクエストで、
「どこかに“古いファミコン的世界観”を入れたい」
というご希望がありました。
そのため、曲のラスト部分に Magical 8bit Plug 2 を使用し、サウンド全体が8bitへと溶けていくような終わり方を構成しています。
この演出によって、
- SF×古典ファンタジー
- かわいい × 罪
- 月の住人 × チキュウ人
という本作特有の“対比の世界観”に、より深い余韻が生まれたと感じています。
使い方は↑の動画で詳しく解説されてますし、無料でダウンロードできます👇
● その他のサンプリング音源
上記以外のドラム・パーカッション・効果音・質感づくりには、
複数のサンプリング音源をレイヤーして制作しています。
詳細は、
エレクトロスウィングの作り方「おすすめサンプリング音源&ソフトウェア音源」
の記事で紹介しておりますので、そちらも併せてご参照いただければ幸いです。
5. ゲーム内エンディングで視聴可能
「Crimson Waltz」は、
ゲームのエンディングでお聴きいただけます。
作品の締めくくりとして、
物語の余韻とともにぜひお楽しみいただけましたら幸いです。
無料でプレイできます:
まとめ
- 樽山めろめ様の新作SFファンタジーADV
- テーマ曲「Crimson Waltz」を作詞・作曲・編曲
- ダークエレクトロスウィングで復讐劇の世界観を表現
- 歌唱は表現力豊かな歌い手・Yunoshinさん
- ゲームエンディングで楽曲を聴くことが可能
作品の世界観と音楽が交差する瞬間を、ぜひゲーム本編でご体験ください。
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